納豆には多くの機能性成分が含まれています。その中から興味深い成分のお話をしてみたいと思います。今回は 5-アミノレブリン酸(5-ALA)についてです。2021年2月に、長崎大学の研究チームから新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖を 100 % 阻害することが発表されたニュースは話題になりましたね。
「生命の根源物質」と言われる 5-アミノレブリン酸(5-ALA)
5-アミノレブリン酸、略して、5-ALA(ファイブ・アラ)。天然のアミノ酸の一つで、ヒトを始め動物や植物など、あらゆる生き物が体の中で作っている物質です。
アミノ酸の一つですが、タンパク質を構成せず、ヘム鉄やヘモグロビン(動物)、クロロフィル(植物)を作るための原料となります。「生命の根源物質」と言われるほど重要なものです。
ミラーの実験でも見つかっている物質です。ミラーの実験とは、生命の始まりを科学実験で証明しようとしたもので、原始の大気を再現(高温にして雷を発生させるなど)して、出来てくるアミノ酸などを確認した実験です。
発酵食品に多く含まれる 5-アミノレブリン酸(5-ALA)
発酵食品にも多く含まれており、納豆 100 g 中に 25 μg 含まれています。大豆 100 g 中には 5 ~ 7 μg しか含まれていませんから、納豆菌の力で増えているようです。最も多く含まれている食品は、日本酒(70 ~ 353 μg/100g)やワイン(110~173 μg/100g)です。
ヒトの生体内では一日に 1 g 程度の 5-ALA が作られ、そして消費されていると推定されています。加齢と共に体内で作られる量が減って来ることが報告されており、5-ALA が減少すると、貧血や糖尿病などを発症するとされ、様々な病気が 5-ALA の減少で引き起こされる可能性が指摘されています。
食べ物から摂取した 5-ALA は速やかに吸収され働くと言われています。しかし、一日の食事で摂取出来る 5-ALA は 50 μg 程度と推定されています。一日に必要な量の2万分の1というわずかな量です。
発酵食品を中心としたバランスの取れた食生活、そして適度な睡眠と運動により、健康で活力のある身体作りを心掛けるのが一番のようですね。