sonomono納豆菌による納豆粉末摂取が、糖尿病や高血圧症、肥満の予防や治療に有効である可能性|研究結果レポート②

sonomono納豆菌による納豆粉末摂取が、糖尿病や高血圧症、肥満の 予防や治療に有効である可能性
sonomono納豆菌による納豆粉末摂取が、糖尿病や高血圧症、肥満の 予防や治療に有効である可能性
国際学術誌「Nutrients」に論文が掲載されました (2022.9.16付)

Bifidobacterium(ビフィズス菌)および Blautia (ブラウティア菌)の減少によるディスバイオシスを伴う疾患の予防・改善に、sonomono納豆菌による納豆粉末の摂取が有効である可能性が示唆された。

sonomono納豆菌による納豆粉末(以下、納豆カプセル)の摂取がもたらす医学的意義を考察するため、日本人の大規模腸内細菌叢データベース SymMADを用いて、健康者と疾病罹患者における Bifidobacterium ならびに Blautia の存在量を比較しました。その結果、男女共に肥満者は健康者に比べ Bifidobacterium の 存在量が有意に少なく、さらに、男性では、健康者に比べ高血圧者は Bifidobacterium の存在量 が有意に少なく、糖尿病者は Blautia の存在量が有意に少ないことが分かりました。よって、納豆カプセル摂取による腸内細菌叢の変化は、糖尿病や高血圧症、肥満の予防・改善につ ながる可能性が示唆されました。

解析対象の疾病は主な生活習慣病である肥満(BMI ≥ 25)ならびに糖尿病、脂質異常症、高血圧症とし、対象年齢は40歳から79歳としました。健康者と疾病罹患者における腸内細菌叢の比較を実施した結果、男女共に肥満者は健康者に比べBifidobacteriumの存在量が有意に少ないことが分かりました。また男性では、高血圧者は健康者に比べBifidobacteriumの存在量が有意に少なく、糖尿病者は健康者に比べBlautiaの存在量が有意に少ないことが分かりました。

健康者と各疾病罹患者におけるBifidobacteriumBlautiaの占有率

(A) 男性、Bifidobacteriumおよび(B)男性、Blautia、(C)女性、Bifidobacterium、(D)女性、Blautia。各群の占有率を箱ひげ図で示しました。各プロットは外れ値を示しています。**はp < 0.01、***はp < 0.001で有意差があったことを示しています。

大規模データベースSymMADからみる納豆カプセルの摂取がもたらす医学的意義

Bifidobacteriumがヒトの健康に及ぼす影響については、酢酸、乳酸の産生による腸管内のpH低下、および抗菌ペプチドの産生を介した病原菌の感染防御、病原菌の増殖抑制、その他分子メカニズムを介した免疫賦活作用が報告されています。一方、Blautiaは糖類を代謝して酢酸、酪酸、乳酸、コハク酸などの短鎖脂肪酸や有機酸を産生する善玉菌の一種で、内臓脂肪面積が低い人ほど占有率が高いことが報告されており、大腸がんや糖尿病などの患者では健常者に比べて本菌属の占有率が低いことから有用な菌のひとつと考えられています。日本を含む12カ国における健康な人々の腸内細菌叢を比較した結果、日本人は他の国の人々と比べてBlautiaおよびBifidobacteriumの占有率が最も高かったとの報告があります。

以上のことから、納豆カプセル摂取によるBifidobacteriumおよびBlautiaの占有率の増加効果は、BifidobacteriumBlautiaの減少を伴うディスバイオシスを改善する可能性が高く、プロバイオティクス製品としての有用性が示唆されました。特に、日常の食生活において納豆を含む発酵食品の摂取頻度が低く、Bifidobacteriumの存在量が少ない人の腸内細菌叢の改善に有用と考えられます。また、本研究の大規模データベースSymMADを用いた解析の結果、男女共に肥満者は健康者に比べBifidobacteriumの存在量が有意に少ないことが分かりました。また男性では、高血圧者は健康者に比べBifidobacteriumの存在量が有意に少なく、糖尿病者は健康者に比べBlautiaの存在量が有意に少ないことが分かりました。このことは、納豆カプセル摂取による腸内細菌叢の変化が、日本人における肥満および高血圧症、糖尿病の予防ならびに治療に有効である可能性を示唆しています。

腸内優勢菌である
ブラウティア菌

Blautia(ブラウティア菌)について

ブラウティア属。糖類を代謝して酢酸、酪酸、乳酸、コハク酸などの短鎖脂肪酸や有機酸を産生する善玉菌の一種です。本菌属は、2008年に、それまでの ClostridiumRuminococcus などに分類されていた特定の菌類が本菌属として再分類された際に出来た比較的新しい菌属である。本菌の増加に関わる成分として、キシロオリゴ糖、オメガ3脂肪酸、カフェイン、RS4 レジスタントスターチなどが知られています。ヒトの健康に関連する事項として、内臓脂肪面積が低い人ほど占有率が高いことが報告されています。また、大腸がんや糖尿病などの患者では健常者に比べて占有率が低いことが報告されている。Bifidobacterium と同様に、日本を含む12ヶ国における健康な人々の腸内細菌叢を比較した結果、日本人の占有率が最も高かったとの報告があります。

ヒト腸内細菌(ブラウティア属細菌)
ヒト腸内細菌(ブラウティア属細菌)
Blautia sp.
引用:National Institute of Technology and Evaluation

ブラウティア菌
に関する研究

内臓脂肪面積が小さい人はブラウティア菌が多いことを発見(2019年10月)

お腹ぽっちゃりの肥満女性

花王、弘前大学、東京大学の研究グループは、性別に関係なく、内臓脂肪面積が小さい人は、腸内のブラウティア菌(Blautia)が多いことを発見しました。体内で肥満を解消する働きがある酪酸や酢酸を作り出すといわれるブラウティア菌は、生活習慣病のリスクを高める内臓脂肪に対するアプローチとなることが期待されています。

ブラウティア菌が2型糖尿や肥満を予防・改善している可能性(2022年8月)

お腹ぽっちゃりの肥満女性

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)などは、健常な人と糖尿病患者を比較したヒト研究ならびに動物モデルを用いた検証から、2型糖尿病や肥満を予防・改善する可能性のある、新たな有⽤な腸内細菌として、ブラウティア菌を発⾒したと発表しました。 ブラウティア菌は、脂肪蓄積抑制効果があるオルニチン、アセチルコリン、Sアデノシルメチオニンなどを作り出し、さらに、他の腸内細菌と協調的に働き、腸内環境を改善することで、肥満や糖尿病を予防・改善する可能性があることが明らかになりました。

用語説明

・ 腸内細菌叢

ヒトの腸内には 1,000 種以上、10~100 兆個程度の腸内細菌が共生しており、重さにして約 1.5 kg と考えられて いる。腸内細菌はそれぞれテリトリーをもって生息しており、その全体を「腸内細菌叢」と呼んでいる。

占有率

個人の腸内細菌叢において特定の細菌が占める割合のこと。

・ 16S rRNA 遺伝子配列

16S rRNA 遺伝子配列は、細菌の進化の道筋(系統関係)によって異なっており、配列を調べることで細菌が属す る分類群(属や種など)を明らかにすることができる。そのため、細菌の系統マーカー遺伝子として利用される。

・ 次世代シーケンサー

一度に大量の塩基配列を決定することができる次世代型の塩基配列決定機器。旧世代型に比べ、同時処理可能な DNA 断片数が桁違いに向上し、目的サンプルの大量塩基配列データを得ることができる。

・ ディスバイオシス

何らかのきっかけにより腸内細菌の総菌数が著しく減少したり、その構成比が変化したり、菌種が異常に増加することなど、正常な細菌構成が異常になることの総称

sonomono納豆菌による納豆粉末の摂取による腸内細菌叢の変動調査

目的

sonomono納豆菌による納豆粉末(以下、納豆カプセル)の摂取による腸内細菌叢の変動を分析する

方法

佐賀県江北町在住の20~89歳の成人男女205名(男性100名、女性105名)を被験者として、男女それぞれ納豆カプセル摂取群と非摂取群の2群にランダムに分けて試験を実施しました。摂取群は納豆カプセルを1日3粒、62日間(2020年11月~2021年1月)にわたり摂取していただき、摂取群と非摂取群の腸内細菌叢の変動を、腸内細菌の16S rRNA 遺伝子配列を次世代シークエンサーで 解読することにより解析しました。

納豆粉末(納豆カプセル)