[図解] 腸内細菌の基本を学ぼう。それぞれの形状や働きについて

腸内細菌を詳しく学ぼう

[図解] 今話題の短鎖脂肪酸とは?腸内細菌の形状と働き、代謝物について

[図解] 腸内細菌の基本を学ぼう。それぞれの形状や働きについて(短鎖脂肪酸も)

私たちの腸内には、なんと約1000種類およそ100兆個もの腸内細菌が暮らしています。腸内細菌は、その働きによって「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」に大きく分類されますが、まだまだ未知の部分も多く、まさに研究が進んでいる分野でもあります。
私たちのお腹の中という身近な場所に棲む、実に多種多様な性質を持つ腸内細菌についてご紹介します。

腸内細菌の形と集合体(棒・球・かたまりなど)

細菌は、その形態から大きく3つに分類できます。
棒状の桿菌、球状の球菌、その他の形はらせん菌という通称で呼ばれ、らせん状や糸状など、特徴的な形態を持つ菌がいます。形態は、さらに細かく分類することもあります。腸内細菌は、桿菌と球菌が大部分を占めています。

また、細胞分裂の方向性や規則性から特定の集合体が特徴づけられることがあります。
雪だるまのように2つの球が連なった双球菌や、ぶどうの房のように球菌が集合したブドウ球菌、鎖のように一直線に繋がっている連鎖球菌などで表現されます。

桿菌
球菌
らせん菌

運動性(進んだり回ったり)

細菌には鞭毛(べんもう)という毛を持っているものがいます。鞭毛の生え方には種類があり、細胞の片側だけにあるもの、両端にあるもの、表面全体にあるものなどがあります。鞭毛は、モーターのように回転させることで推進力をうみ出しています。運動性のある細菌は、基本的にランダムで走行したり回転して方向を変えたりしますが、一定の方向性を持った動きをみせるものもあります。鞭毛を持たない細菌でも、滑走、回転といった運動方法を持つものもいます。

呼吸の違い(酸素との関係は様々)

細菌は、生きていくのに酸素が必要な好気性菌と、酸素があると生きられない嫌気性菌に分けられます。
さらに細かく分類すると、酸素が必ず必要な「偏性好気性菌」、低濃度の酸素が必要な「微好気性菌」、低濃度の酸素下でも生存できる「通性嫌気性菌」、酸素があると生存できない「偏性嫌気性菌」に分類できます。

人の消化管は、口、胃、小腸、大腸と進んでいくにしたがって酸素濃度が低下します。小腸では少し酸素が残っているため、通性嫌気性の細菌が多く棲みついています。大腸では、酸素がほぼなくなっている環境のため、偏性嫌気性菌が多く棲みついています。

細菌は、生きていくのに酸素が必要な「好気性菌」と。酸素があると生きられない「嫌気性菌」に分けられます。
スクロールできます
呼吸 程度 特徴
好気性 偏性好気性 酸素が必要 納豆菌 麹菌、納豆菌
微好気性 低濃度の酸素が必要 カンピロバクター カンピロバクター
嫌気性 通性嫌気性 少し酸素があっても生息できる 乳酸菌 乳酸菌
偏性嫌気性 酸素があると生育できない ビフィズス菌 ビフィズス菌

腸内細菌は何(代謝物)を作り出しているのか?

腸内細菌は、大腸に至るまでに消化・吸収されなかった糖類や食物繊維などを栄養源(エサ)として増殖していきます。その過程では、生産物(代謝物)として酢酸・酪酸・乳酸などの有機酸や、ビタミン類・水素・メタンなどを排出します。
腸内細菌が作り出す酢酸・プロピオン酸・酪酸などの短鎖脂肪酸乳酸などは、特に私たちの健康に大きく貢献していることがわかってきています。

短鎖脂肪酸は、大腸の細胞の主なエネルギー源になっています。抗生物質の利用や絶食などで腸内細菌叢が乱れ、生産物である短鎖脂肪酸が減ってしまうと、腸内の細胞がうまく活動できなくなります。その結果、水やナトリウムの吸収が悪くなり、下痢が起きることもあります。大腸の蠕動(ぜんどう)運動の促進、消化管粘膜への血流量の増加、消化管上皮細胞の増殖、粘液の分泌増加、および腸内環境の酸性化など、様々な作用が明らかになってきています。これらの結果として、腸内細菌の生産物は便秘改善は免疫力向上、腸管バリアの強化(病原菌からの感染予防)など、健康に寄与してることがわかってきました。

監修:シンバイオシス・ソリューションズ

腸内細菌がエサを発酵させて作り出す「短鎖脂肪酸」とは

短鎖脂肪酸とは、具体的に酢酸プロピオン酸酪酸などを指します。お酢などの食品にも含まれていますが、食べ物として直接摂取しても、胃や十二指腸で消化されてしまいます。また、味や臭いの点からも、健康に作用するほどの量を食べて摂るのは現実的ではありません。

短鎖脂肪酸を増やすには、善玉菌、有用菌と言われる腸内細菌に発酵分解して作ってもらうのが有効です。腸内細菌は、オリゴ糖や食物繊維などのエサがある間ずっと、発酵分解をして短鎖脂肪酸を作り続けてくれます。

短鎖脂肪酸を体内で作り出すには、

  • 有用性のある菌、善玉菌がいること
  • 腸内細菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂ること

が大切になります。

この2つを同時に摂ることを「シンバイオティクス」と呼びます。ヨーグルトとハチミツなど、食品を組み合わせて摂ることでシンバイティクスとすることが多いですが、納豆は、納豆菌と水溶性食物繊維、オリゴ糖を含んでいるため、それ自体がシンバイティクスの食材です。毎日でも積極的に摂っていきたい食品です。

腸内細菌は、バランスと多様性が大事

有害な物質を産生する悪玉菌が増加し、善玉菌が減ってしまうのはもちろん良くないことですが、善玉菌であってもたくさんいるほどよいとは限りません。特定の菌が多すぎるということは、摂取している食品に偏りがある可能性があります。腸内細菌はバランスが大切なのです。また、偏った食事の影響で、腸内細菌の種類の多様性が失われることがあります。この場合も、腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。
いろいろな種類の食品を摂取し、腸内細菌のバランスを整えることを心がけましょう。

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