男女共に
ビフィズス菌が増加
本研究では、sonomono納豆菌による納豆粉末(以下、納豆カプセル)の摂取群と非摂取群の腸内細菌叢の変化を、次世代シークエンサーによる16S rRNAメタゲノム解析によって属レベルで解析しました。その結果、納豆カプセルの摂取によって、男女ともに腸内のBifidobacterium(ビフィズス菌)が有意に増加することが明らかになりました。
【菌叢分析の結果】
- 納豆カプセル摂取により、男女ともにBifidobacterium(ビフィズス菌)が摂取前に比べ2ヶ月後に有意に増加しました。
男性(A)および女性(B)におけるBifidobacteriumの占有率の変化
黒のプロットは外れ値を、灰色のプロットは各被験者の値を示しています。*はp < 0.05、***はp < 0.001でBifidobacteriumの存在量に有意差があったことを示しています。ALDEx2パイプラインでBifidobacteriumの存在量を比較した結果、男性では摂取群のみで、0日目から62日目にかけてBifidobacteriumが有意に変化し占有率が増加しました。男性同様に女性においても摂取群のみで、0日目から62日目にかけてBifidobacteriumは有意に変化し占有率が増加しました。
大腸ではたらく
ビフィズス菌
● Bifidobacterium(ビフィズス菌)について
ビフィドバクテリウム属。和名は、ビフィズス菌。糖を分解し酢酸や乳酸を生産する菌で、ヒトの大腸に棲息する代表的な善玉菌。ヒトをはじめ、様々な動物の腸内から、約30種類が見つかっており、その内の10種類程度がヒトの腸内に棲息していると言われています。ヒトの健康に及ぼす影響については、酢酸、乳酸の生産による腸管内の pH 低下、および抗菌ペプチドの産生を介した病原菌の感染防御、病原菌の増殖抑制、その他のメカニズムを介した免疫賦活作用が報告されています。日本を含む12ヶ国における健康な人々の腸内細菌叢を比較した結果、日本人の占有率が最も高かったとの報告があります。
205名の腸内細菌叢の
変化を解析
● 大規模な日本人の腸内細菌叢データベースを用いて、食品摂取の効果を考察した初めての研究
プロバイオティクス(宿主に有益な効果を与える微生物)やプレバイオティクス(大腸内の特定細菌の増殖および活性を選択的に変化させ、宿主に有益な効果を与える食品)、さらにはそれらを併用したシンバイオティクスによる腸内細菌叢の改善が疾病の予防ならびに治療法として注目されています。その一方で、腸内細菌叢の特徴は、年齢、性別、国などの要因にも影響され ることが明らかになっており、腸内細菌叢の特徴は国ごとに異なることが報告されています。本研究は、食品摂取による腸内細菌叢の変動が人々の健康状態に及ぼす影響を、同地域で生活する 人々の大規模データと比較した研究であり、食品の摂取が腸内細菌叢に及ぼす影響を大規模な日本人の腸内細菌叢データベースを用いて考察した初めての研究となります。本研究ではモデルケースとして、sonomono納豆菌による納豆粉末(=納豆カプセル)の摂取による腸内細菌叢の変化を次世代シークエンサーによる16S rRNA解析で解析し、摂取した群と非摂取群の腸内細菌叢の変化を属レベルで解析しました。
用語説明
- ・ 腸内細菌叢
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ヒトの腸内には 1,000 種以上、10~100 兆個程度の腸内細菌が共生しており、重さにして約 1.5 kg と考えられて いる。腸内細菌はそれぞれテリトリーをもって生息しており、その全体を「腸内細菌叢」と呼んでいる。
- ・占有率
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個人の腸内細菌叢において特定の細菌が占める割合のこと。
- ・ 16S rRNA 遺伝子配列
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16S rRNA 遺伝子配列は、細菌の進化の道筋(系統関係)によって異なっており、配列を調べることで細菌が属す る分類群(属や種など)を明らかにすることができる。そのため、細菌の系統マーカー遺伝子として利用される。
- ・ 次世代シーケンサー
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一度に大量の塩基配列を決定することができる次世代型の塩基配列決定機器。旧世代型に比べ、同時処理可能な DNA 断片数が桁違いに向上し、目的サンプルの大量塩基配列データを得ることができる。
sonomono納豆菌による納豆粉末の摂取による腸内細菌叢の変動調査
●目的
sonomono納豆菌による納豆粉末(以下、納豆カプセル)の摂取による腸内細菌叢の変動を分析する
●方法
佐賀県江北町在住の20~89歳の成人男女205名(男性100名、女性105名)を被験者として、男女それぞれ納豆カプセル摂取群と非摂取群の2群にランダムに分けて試験を実施しました。摂取群は納豆カプセルを1日3粒、62日間(2020年11月~2021年1月)にわたり摂取していただき、摂取群と非摂取群の腸内細菌叢の変動を、腸内細菌の16S rRNA 遺伝子配列を次世代シークエンサーで 解読することにより解析しました。