大豆の栄養成分とその機能性

大豆の栄養成分とその機能性

監修いただいた専門家

小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問/九州大学大学院特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間に渡る納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

目次

大豆は多くの機能性物質を含んでいる

豆腐に納豆、味噌、醤油など、大豆を使用した食品や調味料は、日本の食生活に欠かすことはできません。大豆のタンパク質は『畑の肉』と称されるように、必須アミノ酸をバランスよく含み、動物性のタンパク質に引けを取らないほどに高い栄養価を誇っています。大豆には、タンパク質だけでなくアンチエイジング効果で注目されているポリアミン、総コレステロール値を低下させる大豆レシチン、腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増殖させるオリゴ糖や食物繊維、抗酸化作用がある大豆サポニンなど、多くの機能性物質を含んでいます。さまざまな栄養成分をバランスよく摂ることができる、大豆はまさに完全栄養食。古くから日本で食されている大豆ですが、今なお、新たな健康効果が判明し続けているのです。

大豆に含まれる栄養素

大豆に含まれる成分とその機能性

1)タンパク質

全ての動物の細胞を構成する主要な成分で、筋肉や臓器、皮膚、髪など体をつくるもととなるだけでなく、ホルモンや酵素、抗体など、体調の調節機能として働く物質にもなる、生命の維持に欠くことができないものです。大豆に含まれているのはアミノ酸スコア  100の良質タンパク質です。

  • 血中コレステロール低下作用
  • 血圧上昇抑制
  • 抗酸化作用

2)脂質

体内では水分の次に多く含まれています。人体には脂肪酸、中性脂肪、コレステロール、リン脂質の4つの脂質が含まれています。食物から体内に取り入れた脂質は主に小腸で消化され、効率の良いエネルギー源として使われるほか、ホルモンや細胞膜などを構成し、脂溶性ビタミンの吸収を助けます。

  • 善玉コレステロールの増加
  • 脂質代謝改善
  • 記憶力・集中力の増加

3)糖質

炭水化物の内、食物繊維を除いたものが糖質。食物として体内に取り入れられ、消化された後、人体のエネルギー源であるブドウ糖になります。

不足すると、疲労感や集中力の減少が見られ、また、脳・神経で供給不足が起こると、意識障害を起こすこともあります。

  • ビフィズス菌増殖作用
  • 胃の粘膜保護

4)食物繊維

炭水化物の内、人の消化酵素で消化することのできない物質。水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維に大別されます。

食物繊維は、便通を整えて便秘を防ぎ、腸内細菌(善玉菌)のエサとなる大切な成分です。

  • 整腸作用

5)ビタミン

人体の機能を正常に保つために必要な物質です。体内のさまざまな代謝に必要な酵素の働きを補う水溶性ビタミンと、身体の機能を正常に保つ働きをする脂溶性ビタミンに分けることができます。大豆に含まれるビタミンEは、脂溶性物質の抗酸化剤として働きます。ビタミンは体内でほとんど作ることができないため、食品から摂取することが必要です。

  • 成長促進作用
  • 抗酸化作用

6)カルシウム

人体に最も多く含まれるミネラルであり、骨や歯を形成します。

骨格を構成する重要な物質であるため、不足すると骨が十分に成長せず、骨粗鬆症の原因にもなります。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人1人1日当たりの推奨量を、男性で700~800mg、女性で650mgと設定しています。

  • 骨粗鬆症予防

7)イソフラボン

大豆イソフラボンは、その化学構造が女性ホルモンであるエストロゲンに似ており、同じような働きをしてエストロゲンの減少を補うため、骨芽細胞を活発にする女性ホルモンが激減することで起こる骨粗しょう症の予防や更年期障害の軽減等に有用と言われています。

  • 骨粗鬆症予防
  • 更年期障害の緩和

8)サポニン

豆類をはじめとした植物の根や葉、茎に含まれる成分。豆をゆでるときに出てくる泡は、このサポニンが溶出したものです。抗酸化作用、抗炎症作用など、その機能性が近年注目されている成分です。

  • 抗酸化作用

世界も認めるスーパーフード

大豆は、豆腐や納豆、味噌、醤油などの原料で、大豆を使用した食品や調味料は、日本の食卓に欠かすことはできません。平成25年12月には、「日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、大豆加工食品を含めた和食文化が世界的にも注目を浴びています。

大豆はガン予防効果があると考えられる

デザイナーフーズピラミッド
参照:アメリカ国立ガン研究所「デザイナーフーズ」より

アメリカでの医療費全体に占めるがん治療費が1割に上ることから、「食と健康」に関する徹底した検証が行われ、治療を中心とした医療から予防に関心が集まるようになりました。

「デザイナーフーズピラミッド」は、疫学調査による膨大なデータに基づいて、アメリカの国立がん研究所が策定したものです。約40種類の食品を「食物のがん抑制効果」を効果の高い順番に、1郡を頂点として3郡まで示されていますが、その中でも大豆はなんとピラミッドの頂点である1郡に評価されています。

代替食としても注目を集める

近年、話題を集めているのが “代替肉” である大豆ミート。大豆ミートは、丸大豆、脱脂大豆、大豆たんぱくを原料として製造されています。味や食感も年々向上しており、国内外の食品メーカーや料理人たちに注目されています。

世界の人口肉(大豆ミート含む)市場規模予測

大豆ミートは、食料不足・環境問題の 観点から世界的にも関心を集めており、今後もさらに需要が大きくなると考えられています。

参考文献
  • 小泉農学博士の大豆まめ知識 日本人と大豆:農林水産省
  • e-ヘルスネット(厚生労働省)
  • 大豆たんぱ く質の機能性 を探 る:真 鍋 久
  • 調理加工か ら見た大豆の健康機能性成分:塚 本 知 玄、田 山 一 平
  • 今昔、豆の加工品。:農林水産省
  • 国産大豆の生産・需要をめぐる動向:農林水産省
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