sonomono納豆菌による納豆粉末摂取効果は、発酵食品を食べる頻度が少ない人ほど有効である。|研究結果レポート②

sonomono納豆菌による納豆粉末摂取効果は、発酵食品を食べる頻度が少ない人ほど有効である。
国際学術誌「Nutrients」に論文が掲載されました (2022.9.16付)

男女共に摂取前のビフィズス菌の存在量が少ない人において、Bifidobacterium(ビフィズス菌) が有意に増加した。

sonomono納豆菌による納豆粉末(以下、納豆カプセル)の摂取により有意に増加することが明らかになったBifidobacterium(ビフィズス菌) および Blautia(ブラウティア菌) の占有率の変動は、摂取前の Bifidobacterium (ビフィズス菌) の占有率に依存することが明らかにな りました。 Bifidobacterium(ビフィズス菌) の占有率の違いは、納豆を含む発酵食品の摂取頻度に起因すると考えられ、納豆カプセル摂取による腸内細菌叢の変動は、日常の食生活において納豆を含む発酵食品の摂取頻度が低く、Bifidobacterium(ビフィズス菌) の存在量が少ない人の腸内細菌叢の改善に有用と考えられます。

【菌叢分析の結果】

  1. 試験開始前のビフィズス菌占有率が低い男性で、納豆カプセルの摂取によりBifidobacterium (ビフィズス菌)が有意に増加しました。
  2. 試験開始前のビフィズス菌占有率が低い女性で、納豆カプセルの摂取によりBifidobacterium (ビフィズス菌)が有意に増加しました。

試験開始前のビフィズス菌占有率が低い男性で、納豆カプセルの摂取によりBifidobacterium (ビフィズス菌)が有意に増加

男性の摂取群で試験終了時の 62 日目において Blautia の占有率が増加しなかった被験者が一定数みられました。そこで、納豆カプセルの摂取により Blautia の占有率が増加した者 (IB 群)と増加しなかった者(NB 群)の違いを明らかにするために、試験開始時(0 日目)の 腸内細菌叢の構成および過去 1 ケ月の食生活を比較しました。その結果、IB群では納豆を含む発酵食品の摂取頻度が有意に高く、ベースラインにおけるBifidobacteriumの存在量が有意に高く、NB群では納豆を含む発酵食品の摂取頻度が低く、ベースラインのBifidobacteriumの存在量が有意に低かったことが分かりました。

さらに、納豆カプセルの摂取による腸内細菌叢の変化を比較したところ、IB 群では Blautia が有意に増加したのに対し、NB 群では Bifidobacterium が有意に増加していました。この結果より、NB群では納豆カプセルを摂取し続けることでさらにブラウティア菌も増えることが推測できます。Bifidobacterium(ビフィズス菌)およびBlautia(ブラウティア菌 )を増加させる効果は、ベースラインのBifidobacterium(ビフィズス菌)の占有率に依存することが明らかとなりました。

Blautia 占有率(%)
Bifidobacterium 占有率(%)
納豆カプセルの摂取により Blautia の占有率が増加した者(IB 群)
および 増加しなかった者(NB 群)で有意に変化した菌属の占有率の変化

(A)Blautia、(B)Bifidobacterium の占有率の変化の箱ひげ図。各プロットは外れ値を、*は p < 0.05 で各 菌属の存在量に有意差があったことを示しています。IB 群では Blautia が 0 日目から 62 日目(p < 0.05)に かけて有意に増加しました。一方、NB群ではBifidobacteriumが0日目から62日目(p < 0.05)および31 日目から 62 日目(p < 0.05)にかけて有意に増加しました。

試験開始前のビフィズス菌占有率が低い女性で、納豆カプセルの摂取によりBifidobacterium (ビフィズス菌)が有意に増加

女性の摂取群について、摂取開始前における Bifidobacterium の占有率が高い群(HBi 群)と低い群(LBi 群)に分けて、納豆カプセルの摂取が腸内細菌叢に与える影響を比較したところ、LBi群ではBifidobacteriumが有意に増加しており、HBi 群では有意に増減した菌属が見られませんでした。

Bifidobacterium 占有率(%)
試験開始前の Bifidobacterium の占有率が低い女性(LBi 群)と高い女性(HBi 群)における
納豆加工食品摂取による Bifidobacterium の占有率の変化

各プロットは外れ値を、**は p < 0.01 で有意差があったことを示しています。LBi 群のみで納豆カプセル の摂取により Bifidobacterium の占有率が有意に増加しました。

以上のことから、納豆カプセルの摂取が腸内細菌叢の構成に及ぼす効果は、男女ともに摂取前のBifidobacteriumの占 有率に依存することが明らかになりました。 つまり日常的に納豆を含む発酵食品を食べる習慣がなく、Bifidobacterium(ビフィズス 菌)の量が少ない人ほど、納豆カプセルの摂取による腸内細菌叢の改善は効果的と考えられます 。

日本の伝統的発酵食品、
納豆

納豆は蒸した大豆を納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)によって発酵させた日本の伝統的な発酵食品であり、発酵過程で多様な機能性成分が生成されます。納豆には血液凝固因子を作るのに不可欠なビタミンKや大豆由来のタンパク質が豊富であり、さらに食物繊維も豊富に含まれるため、整腸作用があると考えられています。とりわけ、納豆にはB. subtilis var. natto菌体そのものが含まれることから、優れたプロバイオティクスとしての効果が期待されています。納豆が腸内細菌叢に及ぼす影響を調査した研究では、納豆の摂取によりBifidobacteriumが増加するとの報告がある。また、納豆の摂取により食後血糖値の上昇抑制による糖尿病予防作用や脂質異常症予防作用が期待されるとする報告もあります。

納豆

用語説明

・ 腸内細菌叢

ヒトの腸内には 1,000 種以上、10~100 兆個程度の腸内細菌が共生しており、重さにして約 1.5 kg と考えられて いる。腸内細菌はそれぞれテリトリーをもって生息しており、その全体を「腸内細菌叢」と呼んでいる。

占有率

個人の腸内細菌叢において特定の細菌が占める割合のこと。

・ 16S rRNA 遺伝子配列

16S rRNA 遺伝子配列は、細菌の進化の道筋(系統関係)によって異なっており、配列を調べることで細菌が属す る分類群(属や種など)を明らかにすることができる。そのため、細菌の系統マーカー遺伝子として利用される。

・ 次世代シーケンサー

一度に大量の塩基配列を決定することができる次世代型の塩基配列決定機器。旧世代型に比べ、同時処理可能な DNA 断片数が桁違いに向上し、目的サンプルの大量塩基配列データを得ることができる。

sonomono納豆菌による納豆粉末の摂取による腸内細菌叢の変動調査

目的

sonomono納豆菌による納豆粉末(以下、納豆カプセル)の摂取による腸内細菌叢の変動を分析する

方法

佐賀県江北町在住の20~89歳の成人男女205名(男性100名、女性105名)を被験者として、男女それぞれ納豆カプセル摂取群と非摂取群の2群にランダムに分けて試験を実施しました。摂取群は納豆カプセルを1日3粒、62日間(2020年11月~2021年1月)にわたり摂取していただき、摂取群と非摂取群の腸内細菌叢の変動を、腸内細菌の16S rRNA 遺伝子配列を次世代シークエンサーで 解読することにより解析しました。

納豆粉末(納豆カプセル)