便秘の原因って何?便秘を防ぐために気を付けたい生活習慣とは?

便秘とは、排便回数の減少や便通異常がある状態をいいますが、その定義はいくつか存在します。日本内科学会では、「3日以上排便がない状態。または、毎日排便があっても残便感がある状態。」と定義しています。また、〝慢性便秘症診療ガイドライン 2017 〟では、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。日本では、現在この定義が主流となっています。

国際消化器病学会(RomeⅢ)では、「排便回数が週 3回未満」、「排便時の 25 % 以上(4回に1回以上)が硬便」、「用指的排便(指や綿棒などを用いて強制的に排便させる行為)が 25 % 以上」、「努責(排便時に強くいきむこと)、残便感、閉塞感のある頻度が 25 % 以上」の 4項目としています。

目次

便秘の原因とは?

便秘の原因分類として、〝慢性便秘症診療ガイドライン 2017 〟では、次の分類を行っています。まず、「器質性」と「機能性」に大別されます。

器質性便秘

「器質性便秘」に分類される便秘は、大腸癌、クーロン病、大腸炎、直腸瘤や消化管の肥大などの多岐に渡る疾病が原因となっています。原因に応じて治療が必要な場合があります。

機能性便秘

「機能性便秘」は、は大腸の運動や働きに異常があり、器質的異常がないものをいいます。

症状によって「排便回数減少型」と「排便困難型」に分類され、それに対応した専門的検査による病態分類として、「大腸通過遅延型」、「機能性便排出障害」、「大腸通過正常型」に分類されています。

  1. 大腸通過遅延型

大腸通過遅延型に分類される便秘は、代謝・内分泌疾患、神経・筋疾患、膠原病などの疾患に由来するものや、向精神薬などの薬剤の摂取による副作用が原因となっています。

  1. 機能性便排出障害

機能性便排出障害に分類される便秘は、骨盤底筋協調運動障害や腹圧(怒責力)低下などの機能低下が原因となっています。

  1. 大腸通過正常型

大腸通過正常型に分類される便秘は、硬便による排便困難・残便感(便秘型過敏性腸症候群)などの疾病由来の場合と、経口摂取不足(食物繊維摂取不足を含む)など生活習慣に由来するものが原因となっています。

疾病や薬剤の副作用によるものは適切な治療が必要ですが、それに対し、食習慣を含む生活習慣によるものは、日頃からの生活環境などを注意することで予防が可能となります。では、どのようなことを注意すれば良いのでしょうか?

排便の流れ

その前にまず、排便についておさらいしてみましょう。

私たちが食べたものは、口で咀嚼され、食道を通り胃に運ばれます。胃では酸や酵素などにより消化が行われ、小腸へ運ばれます。小腸で栄養分や水分が吸収されます。その残りが大腸へ運ばれ、さらに水分が吸収され、腸内細菌やその死菌体が加わり、固形の便をつくりながら、ぜん動運動で大腸の終わりの直腸に運ばれます。直腸に届くと、腸壁が刺激されて便意となり、脳からの指令を受けて便が排泄されます。
  1. 食道
  2. 十二指腸
  3. 小腸
  4. 大腸
  5. 肛門

私たちが食べたものは、口で咀嚼され、食道を通り胃に運ばれます。胃では酸や酵素などにより消化が行われ、小腸へ運ばれます。小腸で栄養分や水分が吸収されます。その残りが大腸へ運ばれ、さらに水分が吸収され、腸内細菌やその死菌体が加わり、固形の便をつくりながら、ぜん動運動で大腸の終わりの直腸に運ばれます。直腸に届くと、腸壁が刺激されて便意となり、脳からの指令を受けて便が排泄されます。

しかし、大腸の動きが鈍ると便の通りが遅くなり、水分が吸収され過ぎて硬くなります。そうして便が硬くなると、さらに排出されにくくなります。この悪循環により、便秘を招くことになります。このように、適切な排便を行うためには大腸の働きが重要であることがわかります。

慢性便秘症のリスクとは?

腸内環境の破綻(ディスバイオシス)が及ぼす影響

慢性便秘症は、世界各国で高頻度に認められる機能性消化管障害です。その有病率は約 16 %と高く、日本においても有病率は約 14 %と高いことが報告されています。決して侮れない症状です。

便秘が慢性化すると、お腹の張りや不快感だけでなく、腹痛、悪心、嘔吐、頭痛などを伴うことがあります。また、悪玉菌による異常発酵が起こり、ガス溜りや有毒ガスの発生を招き、肌荒れや体臭異常のみならず、大腸内での炎症が発生します。大腸内での炎症が長期化すれば、潰瘍が発生し、さらに悪化した場合は、穿孔が起こり腹膜炎を併発する場合、あるいは、癌への進行を招くことがあります。

大腸内は神経とも密接に関係しているため、イライラ、不眠、うつ病、認知症などの症状が出ることもあります。同様に、免疫細胞の約6割が腸管内に存在するため、免疫力が衰え、感染症にかかりやすくなったり、逆に、免疫力が暴走気味となり、花粉症などのアレルギー症がひどくなることもあります。また、固い排便により肛門を傷つけたり、無理にいきむことよる、痔、脱肛、直腸粘膜脱などにつながることもあります。

便秘を防ぐために気を付けたい生活習慣

栄養バランスのいい食事を摂ることが大切です。

便秘を防ぐためには、次の生活習慣に気を付けることが大事です。

  • 規則正しい生活リズム

規則正しい生活リズムを維持することで、自律神経が整い、排便を規則正しく行えるようになります。食事の時間を整えることも大事です。特に朝食の摂取は体内リズムを整え、胃や腸を刺激し、排便反射を促しやすくします。また、早寝早起きを心掛け、質の高い睡眠時間を取ることが大事です。

  • バランスの取れた食生活

炭水化物、タンパク質、脂質のバランスの取れた食生活を心掛けましょう。間食は適度な量であれば問題ありませんが、摂り過ぎには注意しましょう。

  • 適切な水分補給

水分を適切に取ることで、便が軟らかくなり、排便がスムースになります。朝、起き抜けにコップ一杯の水か白湯を飲むことで腸が刺激され、腸の運動が活発になります。日中は、こまめな水分補給を心掛け、発汗などにより失われた水分を補いましょう。

  • 食物繊維の摂取

食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維に分けられます。

水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、便を柔らかくする作用があります。増えた善玉菌は、腸内のバリアー性を高め、腸の活動を正常にします。水溶性食物繊維は、果物や繊維の柔らかい野菜(にんじんやキャベツなど)、海藻類などに多く含まれます。

不溶性食物繊維は、便の量と水分を増やして腸管を刺激し、腸の運動を活発化させ、便通を整える働きをします。根菜類やきのこ類、繊維の硬い野菜(たけのこなど)、豆類などに含まれます。

  • 適度な運動

適度な運動を行うことで、腸の動きが活発になります。特に、排便時は腹圧をかけるため、腹筋が大切です。また、ストレスの発散にも繋がります。 

  • 我慢をしない

便意を我慢せず、便意を感じた時にトイレに行くようすることも大切です。排便を我慢することが多いと、便秘が悪化しやすくなります。また、朝食後にトイレに座る習慣をつけると排便習慣が整えられやすくなります。

  • ストレスをためない

過剰なストレスは自律神経の乱れを引き起こします。 副交感神経の働きが鈍くなると、腸のぜん動運動も弱まり、便秘を引き起こす原因となります。 ストレスを溜めないように気を付けましょう。

腸の健康は真の健康!腸内細菌を元気にして健康維持しよう

ヒトの口から肛門までの消化管の全長は約 9 m、そのうち小腸の長さは約 6 m、大腸の長さは 1~1.5 m と言われています。腸管は非常に大きな臓器であり、生きて行くために欠かせない栄養分を吸収する大事な臓器です。

その一方で、「脳腸相関」と呼ばれるように、脳や神経とも密接に関わると共に、免疫の最前線でもあります。腸管の健康は、真の健康と密接に関わっています。規則正しい生活とバランスの取れた食生活を心掛けましょう。また、腸内細菌を元気にし、正常な腸の働きを維持して行くために、食物繊維と発酵食品を積極的に摂ることを心掛けましょう!

監修いただいた専門家

小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問/九州大学大学院特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間に渡る納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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